大盛りの美学 in USA |
その日のテーマに応じた当番制、でもリストに入りそこなった私は「悪いなぁ」と思いつつ食べるだけ。さすがに居た堪れなくなり、以前姉に教えてもらったお饅頭、40個蒸かして持って行きました(>師範、作ってみました!)。
「なんちゃって」だけど日本食に接する機会が多いアメリカ人学生さん、でも、和菓子ってほとんど食べることないんじゃないかな、と思って。
洋菓子と違って、バターも生クリームもショートニングも使わないし、野菜の甘さを活かしているし、カロリーは低いし、と、中々良く出来ていると改めて見直しです。
さっぱりしていておいしい、と割と好評、特に先生がお気に入り。この日のゲストレクチャラー(Wellspring(現Whole Foods)創業者、現3CUPSオーナーのAlexsanderさん)からは「味噌入りじゃないの?」なんて通な質問も。
ここ数回、「何故アメリカ人の食生活はこんなになってしまったのか」というテーマ。アメリカの飽食の背景と食品産業の実態。
まず驚いたのが、アメリカの食品産業は、1人(@アメリカ市場)1日当り38,000Kcalの食料を生産しているそう。実際の必要摂取カロリーは平均すれば1人1日当たり2,000Kcal程度ですから、明らかな供給過剰。しかも価格競争も熾烈で値崩れしまくり。文字通り「有り余るほど」食べ物がアメリカにはあるとのこと。
しかも、「light」と付く商品は実質的に味を薄めて(原料の使用量も少なくてすむ)沢山消費させている(light beerなんて幾らでも飲めるようにしてる)。さらに、「No suger」と銘打った人口甘味料の入った商品は甘味へのAddictionを増加させているなどなど、日常普通にある食べ物を食べることで、大量消費・肥満へのサイクルに入ってしまう・・・
さらにこの日、話題になったのが食習慣形成中の子供の食問題(学校での食)。
アメリカの学校はCoke SchoolとPepsi Schoolに分かれるそう。CokeあるいはPepsiと学校内の自販機の独占契約を結ぶことで奨学金や寄付などのキックバックが得られる、学校側は予算縮小でそれを求めざるを得ない、の関係。ちなみにUNCはPepsi Schoolですね。
これだけのマーケティング予算をドリンクメーカーが拠出できるのは、原材料(コーンシロップ)の安定供給のために作った政府の専売体制が今も残っており、非常に安く調達できるから。
学校でソフトドリンクが販売されて、子供のうちから甘い物に馴染み、果ては肥満に糖尿病。そのサイクルに税金が貢献しているなんてどうよ?!というお話も。
学校の給食や自販機の問題はよくニュースにもなりますね。カリフォルニアの教育委員会は小中学校でのドリンク排除を決定、大手食品メーカーのクラフトは子供向け商品にアニメキャラを使用するのを控えることにしたりと、認識が変わりつつある現状のようです。
こうした状況をとても脅威に感じるらしく、若い学生さんがこの問題、とても真剣に考えているのが印象的でした。
それから、何故こんなにたくさん食べるのか、について、面白かったのがリーディングの記事「Our National Eating Disorder」。
フランス人などに比べて、アメリカ人には食に関する文化的規範が欠けている、という解釈。フランス人もフォアグラやリッチなチョコケーキなど、高カロリー・高脂肪なものも食べるが、食事する時は会話を楽しむ文化があり、美味しいものを共に享受することを喜び、時間をかけて食事するので「決して食べ過ぎない」。
しかしアメリカにはこの「文化的規範」が欠けている上に、食べ物は潤沢にあり「大盛り」「お代わり」が可能な環境。これじゃあ際限無く食べてしまう、という。
しかしその結果の肥満の問題に直面して、矛盾しながらも食べることへの罪悪感だけは人一倍強く、食に喜びを見出すことが出来ない。だから流行のダイエットが社会的に広まる(ローカーボは相当定着してるし)。
純粋に食べることが大好きな私としては、そんな悪循環サイクルが不憫でなりません。
もっともこれは一般論としての解釈だとは思いますけどね。実際、ここ(Chapel Hill)はベジタリアンメニューのあるお店も多いし(それも美味しい)、オーガニック食材で自炊して健康的に食生活している人も多いですしね。
それにしてもこの食に対する問題意識の高さ、すごいなと。。。